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モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第5番「トルコ風」 [協奏曲]

息子が5歳でヴァイオリン教室に通い始めて、最初の数ヶ月はボクが自分で教えるつもりで買った幼児向けのヴァイオリン教本を使っていたが、ほどなく「鈴木バイオリン指導曲集」を中心として、「篠崎バイオリン教本1」や「カイザー ヴァイオリン練習曲1~3」を副教材に使うようになった。
「鈴木バイオリン指導曲集」は1年に1巻ずつくらいのペースで進んでいった。中1になって今年の12月で8巻最後の曲・・・ベラチーニ「コンチェルト ソナタ」が完了した。
そして12月に入ってから9巻である。8巻までは徐々に難度を上げながら有名なピースを曲集としてまとめたエチュードであった。

それが9巻になると、いきなりモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番 K.219「トルコ風」全3楽章(ヨアヒムのカデンツァ付き)である。

先生とボクは「とうとうモーツァルトまで来ましたね」と感慨深く話し合っていた。
先生は「○○クン、○○高校音楽科に入れるんちゃいますか」とも勧められたが、もちろん息子本人もボクもその気はないし(とくに才能もやる気もあるように思えないし...)、音高-音大コースは経済的にもたいへんであるから、手堅く理工系あたりでふつうに進んでくれたらいいと思っている。

来年5月のヴァイオリン教室の発表会の課題曲は、このコンチェルトの第1楽章に決まった。


鈴木バイオリン指導曲集 第9巻(全音楽譜出版社)

         
*          *          *


ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)のヴァイオリン協奏曲(ヴァイオリンソロ1本のもの)は7曲残っているが、うち第6番、第7番は偽作とされ、第1番~第5番の5曲がモーツァルトの作品として一般的に知られている。

5曲のヴァイオリン協奏曲はいずれも1775年(モーツァルト19歳のとき)の作品で、どれも遜色ない作品だと思う。

第3番、第4番、第5番の3曲がよく演奏され、とくに第5番は第3楽章が、当時流行していたといわれるトルコ風のメロディーの部分を含んでいるので「トルコ風」"Turkish"と呼ばれて親しまれている。この部分はコル・レーニョ"col legno"といって、チェロ・コントラバスのパートが弓の棒の部分で弦をバシバシ叩いて打楽器のような効果をあげていて、トルコ軍の行進の太鼓の音のようにも鞭打つ音のようにも聴こえる。

         
*          *          *


モーツァルトは最も好きな作曲家の一人なので、この曲もCDは4枚持っている。

(1)フランツ・ペーター・ツィンマーマン(ヴァイオリン)   イェルク・フェルバー指揮   ハイルブロン・ヴュルテンベルク室内管弦楽団


(2)ジャン=ジャック・カントロフ(ヴァイオリン)   レオポルド・ハーガー指揮   オランダ室内管弦楽団


(3)アルテュール・グリュミオー(ヴァイオリン)   サー・コリン・デイヴィス指揮   ロンドン交響楽団


(4)ギドン・クレーメル(ヴァイオリン)   ニコラウス・アーノンクール指揮   ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団


他に「クラシックmp3無料ダウンロード著作権切れ歴史的録音フリー素材の視聴、試聴」サイトから

(5)ジャック・ティボー(ヴァイオリン)   シャルル・ミュンシュ指揮   パリ音楽院管弦楽団

(6)ヤッシャ・ハイフェッツ(ヴァイオリン)   ジョン・バルビローリ指揮   ロンドン・フィルハーモニック

を聴き比べてみた。

ボクは優柔不断なので、どの演奏も聴いているときは魅力的に感じられて、優劣や好き嫌いを判断するのが難しい。しかし、ウォークマンのプレイリストに入れて立て続けに聴いていると、個性の違いがよくわかった。

(1)ドイツの今は中堅ヴァイオリニストのツィンマーマンが若かりし頃に録音したこの曲は清々しく、几帳面に弾いている。
音は細くも太くもなく、中庸といったところであろうか。
ヨアヒムのカデンツァを省略なしで弾いていて、聴いたなかでは最もスタンダードな演奏である。
難を言えば、バックのオーケストラ演奏がぶっきらぼうな感じで美しく感じられないことであろうか。

(2)カントロフはこのなかではボクが実演で接した唯一のヴァイオリニストである。音は線は細いがスタイリッシュで筋肉質な演奏が魅力である。
このCDではバックのオーケストラは最も美しく効果的にソロを盛り立てていると思った。
ヨアヒムのカデンツァを若干省略しているところがある。
第3楽章「トルコ風」のところは、低弦のコル・レーニョをビシバシ叩いていて、ソロは畳み掛けるようなテンポでスリリングである。

(3)グリュミオーは太めのねっとりした美音で流麗に色っぽく弾いている。
ヨアヒムのカデンツァをかなり省略したり、変えたりしている。
大編成?のオケがちょっと重たく感じられるのが残念であるが、一昔前のスタンダードと思う。

(4)クレーメルとアーノンクール/ウィーンフィルの演奏はたいへん個性的で面白いが、スタンダードからはかけ離れている。
装飾音符の弾き方などソロもオケもふつうとは違うし、ウィーンフィルの美しい響きをわざとゴツゴツしたアーティキュレーションで演奏させている。
クレーメルは変幻自在で剃刀のような鋭い切れ味の演奏である。
カデンツァはレビン作、ヨアヒムに慣れた耳にも違和感はない。

(5)ティボーは録音が悪くて音が痩せて聴こえるが、ティボー節ともいえるポルタメントや細かいビブラートに暖かい人柄を感じる。まったりとした柔らかな音楽である。

(6)ハイフェッツのは意外と録音が良好。現在ではあり得ないほどロマンティックに緩急をつけているが、どこか冷ややかに計算された演奏に感じられる。


YouTubeでは有名曲だけにたくさんあるが、まずはボクの好きなティボー。


ティボー/ミンシュによる第1楽章


アンネ・ゾフィー・ムターの弾き振りによる協奏曲全集の演奏はCD、DVDでも話題になっていたし、NHK-BSでも放映されてちゃんと録画を残している。YouTubeでは音質・画質が劣化しているのが残念である。
どうしてもセクシーなルックスに見とれてしまうが、演奏そのものは濃厚というか男勝りで野太い。とくに第2楽章などは聴いていてゾクゾクするくらいに官能的である。


ムター弾き振りによる第1楽章


ムター弾き振りによる第2楽章(その1)


ムター弾き振りによる第2楽章(その2)


ムター弾き振りによる第3楽章

         
*          *          *


≪練習日誌≫

ボク自身はというと「新しいバイオリン教本」を何巻かやった後、ヘンデルのソナタをやって、次にモーツァルトのソナタをやろうとしたときにレッスンを止めてしまっていた。
その後は、自主的にバッハの無伴奏の一部の曲を練習した以外には、オケの曲ばかり練習していて、オケの曲の中で飛ばし弓や発音のテクニックをそれなりに磨いてきた。
だからヴィヴァルディ・バッハなどのバロックコンチェルト以外には、コンチェルトをちゃんとモノにするような練習をやってこなかった。

息子がモーツァルトを練習する機会を活かして、ボク自身もこの曲を練習してみたいと思った。
先週の日曜日は、ちょっとだけ第1楽章の最初のほうを弾いてみた。
ポジションを意識し過ぎないで、ハイポジションの音に「当たり」をつけて音程をとるところなど難しいが、何度かチェレンジするとそれなりに音をとれるようになった。

息子が四苦八苦して練習するのを聴いていると、まだ負けてないなぁと思った。


第1楽章のソロ出だし

第1楽章のソロは「ラ・ド・ミ」の音階で始まる。この単純な3度ずつの上昇は、いろんなヴァイオリニストが渾身の音色で弾き始めるところだ。
ボクも自分なりに精一杯きれいなビブラートをかけて、ゆったりとした音色を出せるよう試してみた。
息子はまだ棒読みのような弾き方しかできていない。
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ベルク:ヴァイオリン協奏曲「ある天使の思い出に」 [協奏曲]

ボクはちゃんと音感教育を受けてきたわけではないので、しっかりとした調性感は持っていない。
でもヴァイオリンを弾くときのウォーミングアップではハ長調の音階練習(ピアノでいう白鍵の音階)と、これから練習する曲の調の音階練習くらいは欠かせないが、どうも「移動ド唱法」的な感覚のままである。

しっかりと音感を磨かれた方は、調ごとに異なった「色」が見えると言われる。ボクにはどうしても理解できない感覚である。
いっぽう調性感を身につけた方で、近代音楽以降の調性が崩れてきたような音楽を受け入れるのに抵抗があると言われる方もいた。ボクは少々の転調や無調っぽいメロディーがあっても聴く分にはさほど抵抗はない。弾くときは臨時記号がいっぱいあると、頭が混乱したりシフティングに戸惑って辟易するが...

しかし、シェーンベルク、ベルク、ウェーベルンあたりの「無調」とか「12音技法」の音楽とよばれるもの、いわゆる「前衛音楽」らしい「現代音楽」はなかなか聴き辛いものがある(それらは21世紀にもなって、もはや「前衛」でも「現代」でもないれっきとした「クラシック」であろうが...)。
メロディーとして耳に入って来ない。青白い音響のように聴こえるのである(そういう面では「色」が見えているのであろうか?)。

オーストリア~ウィーンの作曲家アルバン・ベルク(1885-1935)は、「現代音楽の父」とも言うべきアルノルト・シェーンベルク(1874-1951)の弟子で、同じく弟子だったアントン・ヴェーベルン(1883-1945)とともに「新ウィーン楽派」を築いた作曲家である。
あくまでもボクの主観であるが、ドビュッシー/ラヴェルがモネ/マネらの「印象派」の絵画に喩えられるのに対して、シェーンベルク/ベルク/ウェーベルンはクリムト/シーレらの「ウィーン分離派」に喩えられるように思う。
シェーンベルクの後期ロマン派らしい甘美な部分にクリムト絵画のような「なまめかさ」を感じるとともに、新ウィーン楽派の音楽に退廃的・破滅的な「美」を感じるのである。


http://www.amazon.com/Violin-Concerto-Berg/dp/B00000DNP8/ref=cm_lmf_tit_17[  ベルク&ストラヴィンスキー ヴァイオリン協奏曲
  ・ベルク:ヴァイオリン協奏曲「ある天使の思い出に」
  ・ストラヴィンスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調
  ・ラヴェル:ツィガーヌ
    フランク・ペーター・ツィンマーマン(ヴァイオリン)
    ジャンルイジ・ジェルメッティ指揮
    シュトゥットガルト放送交響楽団]


モーツァルトのヴァイリンソナタの鮮烈な演奏を聴いて以来、ドイツの中堅ヴァイオリニスト~フランク・ペーター・ツィンマーマンが好きである。
その流れで10数年前に買った「ベルク&ストラヴィンスキー:ヴァイオリン協奏曲」のCDであるが、そのときはまだベルクの音楽には馴染めなかった。ストラヴィンスキーもバレエ音楽三部作と「プルチネルラ」は聴いていたが、それ以外は受け付けなかったので、聴きなおすことのないCDであった。

最近はブーレーズでモーツァルトの「13管楽器のセレナーデ」とカップリングされたベルクの「ピアノ、ヴァイオリンと13管楽器のための室内協奏曲」のCDを聴くようになったり、ドビュッシーやラヴェルの管弦楽曲全集を聴いていると少しばかり無調のメロディーが出てきて、そういうものに馴染んできたようである。
それで、このCDも久しぶりにウォーキングの「ながら」で聴いているとけっこう耳にすんなり入って来た。

このCDはベルク-ストラヴィンスキー-ラヴェルと聴き進むにつれて聴きやすく馴染みやすくなる。
ベルクのインパクトがいちばん強いが、逆の順番で聴いたほうがベルクもより聴きやすいようである。

ベルクのヴァイオリン協奏曲(1935年)には「ある天使の思い出に」と副題がついている。マーラーの未亡人であったアルマ・マーラーが再婚後に生んだ娘・・・18歳のマノン・グロビウスが小児麻痺で亡くなり、これを悲しんで着手したといわれる。

第1楽章(Andante、Allegretto)冒頭は、ヴァイオリンの開放弦4弦による(G-D-A-E-E-A-D-G、ソ-レ-ラ-ミ-ミ-ラ-レ-ソ)のアルペジオをテーマに穏やかに始まるが、その後の展開でも常に悲しみ・不安に包まれた暗い雰囲気である。ときおり現れる伴奏音形が美しい。
わかりやすいメロディーはないので、この先どう展開するかわからないまま粛々と音楽が進んでいく。
独奏ヴァイオリンはとらえどころのないメロディーではあるが、ツィンマーマンのヴァイオリンの音色が美しく、その背後で断片的にオーケストラが激しく盛り上がったり、美しく響いている。

第2楽章(Allegro、Adagio)は、Allegroで激しいオーケストラ全奏で始まった直後に、ヴァイオリンの苦痛に歪んだような、うめき声のような演奏が続く。後半はAdagioにテンポを落としてけだるい曲想が続くが、徐々に晴れ間が広がってきたような清涼な響きになり、フィナーレはアルペジオで上昇した後の長々と続く終止音のロングトーンで安らかに終わる。


≪YouTube動画

フランク・ペーター・ツィンマーマン(ヴァイオリン)
アラン・ギルバート指揮 NHK交響楽団
ベルク:ヴァイオリン協奏曲


第1楽章(1/2)


第1楽章(2/2)


第2楽章(1/2)


第2楽章(2/2)


こちらを好まれる方もいるだろう...

諏訪内晶子(ヴァイオリン)
ピエール・ブーレーズ指揮 
グスタフ・マーラー・ユーゲント・オーケストラ
ベルク:ヴァイオリン協奏曲


第1楽章


第2楽章(1/2)


第2楽章(2/2)
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バッハ:2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV1043 [協奏曲]

前回は映画「ミュージック・オブ・ハート」を取り上げたが、本当はこの曲の記事から展開しようと思っていた。そこまで書くと横道にそれてしまうので別の記事にまとめた。

今回はこの曲、ボクにとってはたいへん親しみあるJ.S.バッハ「二つのヴァイオリンのための協奏曲」ニ短調 BWV1043について思い入れを書いてみる。
大げさに譜例などを貼り付けて長々とした駄文であるが、もし辛抱強くお付き合いいただければ幸いである...


1.作曲の背景

今ちょうどバッハ評伝

「バッハ=魂のエヴァンゲリスト」磯山 雅 著(講談社学術文庫)

を読んでいるので、楽曲だけではなくその背景にも興味が向いた。

J.S.バッハ(1685~1750)は宮廷楽団のヴァイオリン兼トランペット奏者を父に8人兄弟の末子として生まれた。父だけでなく兄弟・従兄弟など親せき中音楽家だらけの中で育ち、ボーイソプラノを歌い、鍵盤楽器に親しんできた。
15歳くらいで教会の付属学校で器楽奏者として活躍し、18歳で本格的に作曲を始めたらしい。後に教会オルガニスト、宮廷音楽家として各地を転々としながらキャリアを積んでいった。
オルガニストとして教会音楽に注力した時期もあるが、ケーテンの宮廷楽長時代(1717~1723)の一時期に、領主レーオポルト公自らが楽器を演奏する音楽愛好家であったことから、バッハは重宝されて器楽曲や合奏曲の名曲をたくさん残した。
無伴奏ヴァイオリンソナタ&パルティータ、無伴奏チェロ組曲、ヴァイオリンソナタ、平均律クラヴィーア曲集第1巻、ブランデンブルク協奏曲、そして4つのヴァイオリン協奏曲(第1番、第2番、オーボエとヴァイオリン、2つのヴァイオリン)など、器楽曲・室内楽曲の金字塔というべき名曲ぞろいである。
そのなかでも「2つのヴァイオリンのための協奏曲」はヴィヴァルディやテレマンのコンチェルト・グロッソの影響を受けながらも対位法を活かし、バッハならではの神聖さを宿しつつ、ロマンティックな室内楽曲・協奏曲として結実している。


2.2つのヴァイオリンのための協奏曲

めんどくさくなければフリーサイト(IMSLP / ペトルッチ楽譜ライブラリー)よりスコアをご覧いただきたい。
(譜例はダブルクリックにより拡大します)
YouTubeの参考音源は Tafelmusik Baroque Orchestra のピリオド楽器演奏である。ダイナミックであるが速いテンポで少々刺激的過ぎるかもしれない。

2つのヴァイオリンと弦楽合奏および通奏低音(チェンバロ)による編成であるが、2つのヴァイオリン独奏の駆け合い(対位法の極致といわれる)、さらに独奏vs合奏の対比が加わり、演奏技巧には凝ってないものの奥行きの深い音楽になっている。


第1楽章 ヴィヴァーチェ



第2ヴァイオリンの合奏で始まり、その5小節後から第1ヴァイオリン合奏で同じ音形が5度高く演奏されると、第2ヴァイオリンは裏旋律を演奏してもつれていく(譜例1)。
やがて第1ヴァイオリンの独奏が始まり、その5小節後から同じ旋律を第2ヴァイオリン独奏がカノン(あるいはフーガ)風に受け継いで...と展開していく(譜例2)。
カッチリとした厳粛な曲想である。


譜例1


譜例2


第2楽章 ラールゴ・マ・ノン・トロッポ



第1楽章から一転してヘ長調の優しい曲想になる。
第2ヴァイオリン独奏の穏やかな旋律で始まり、この旋律を5度高く第1ヴァイオリン独奏で反すうする(譜例3)。このときの第2ヴァイオリンのアルペジオの裏旋律が天国的に美しい。
中間部では第1・第2ヴァイオリン独奏が旋律を1拍ごとに掛け合いしたり、アルペジオ音形を1小節ごとに掛け合いするさまが、恋人同士の甘い語らいのように魅惑的である(譜例4)。


譜例3


譜例4


第3楽章 アレグロ



ふたたびニ短調で、第1ヴァイオリン独奏と2拍遅れの第2ヴァイオリン独奏による16分音符の厳しい旋律で始まる(譜例5)。
第1楽章、第2楽章では第1・第2ヴァイオリン独奏がほぼ対等な立場であったが、この楽章では第1ヴァイオリン優位で第2ヴァイオリンはそれを補完するように弾いている。
中間部で合奏が16分音符の旋律を弾いている間に、独奏ヴァイオリンが重音の8分音符のキザミで伴奏に入れ替わるところの緊迫感が心地よい(譜例6)。
後半部では、第2ヴァイオリン独奏と第1ヴァイオリン独奏が5小節ずれたカノン風旋律にも厳しい美しさが感じられる(譜例7)。


譜例5


譜例6


譜例7


3.紹介CD

CDではたいがいバッハの他のヴァイオリン協奏曲とカップリングされている。
ボクの聴いているCDをお薦め順で紹介する。

http://www.amazon.co.jp/J-S-%E3%83%90%E3%83%83%E3%83%8F-%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%B3%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2-%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%81%E3%82%A7%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%86%E3%82%A3-%E3%82%B8%E3%83%8E/dp/B00005FIRS/ref=pd_sim_m_2[
(1)ジノ・フランチェスカッティ(ヴァイオリン)*
  レジス・パスキエ(ヴァイオリン)**
  ワルター・プリスタウスキ(ヴァイオリン)***
  宗 倫匡(ヴァイオリン)***
  ルドルフ・バーメルト(ヴァイオリン)***
  ルドルフ・バウムガルトナー(指揮)
  ルツェルン音楽祭弦楽合奏団  ]
  ・ヴァイオリン協奏曲第1番 イ短調 BWV1041 *
  ・ヴァイオリン協奏曲第2番 ホ長調 BWV1042 *
  ・2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV1043 *,**
  ・3つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ長調 BWV1064a ***

(2)イ・ムジチ合奏団
  ロベルト・ミケルッチ(ヴァイオリン)
  フェリックス・アーヨ(ヴァイオリン)*
  レオ・ドリーフェス (オーボエ)
  ・ヴァイオリン協奏曲第2番 ホ長調 BWV1042
  ・ヴァイオリン協奏曲第1番 イ短調 BWV1041
  ・2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV1043 *
  ・ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲 ハ短調 BWV1060

(3)エンシェント室内管弦楽団
  クリストファー・ホグウッド(指揮、チェンバロ)
  キャサリン・マッキントッシュ(ヴァイオリン)*
  ヤーブ・シュレーダー(ヴァイオリン)**
  クリストファー・ハイロンズ(ヴァイオリン)**
  スティーヴン・ハマー(オーボエ)
  クリストフ・ロウゼット(チェンバロ)***
  ・オーボエとヴァイオリンのための協奏曲 ハ短調 BWV1060a *
  ・2台のチェンバロのための協奏曲第1番 ハ短調 BWV1060 ***
  ・2台のチェンバロのための協奏曲第3番 ハ短調 BWV1062 ***
  ・2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV1043 **
   
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%90%E3%83%83%E3%83%8F-%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%B3%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC1%E7%95%AA%E3%82%A4%E7%9F%AD%E8%AA%BF-%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%A1%E3%83%AB-%E3%82%AE%E3%83%89%E3%83%B3/dp/B00005FFY7/ref=sr_1_5?ie=UTF8&s=music&qid=1278245443&sr=1-5[(4)ギドン・クレーメル(ヴァイオリン・指揮、多重録音)
  ハインツ・ホリガー(オーボエ・指揮)
  アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ ] 
  ・ヴァイオリン協奏曲第1番 イ短調 BWV1041
  ・ヴァイオリン協奏曲第2番 ホ長調 BWV1042
  ・2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV1043
  ・ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲 ハ短調 BWV1060
   
テンポ感(速さ)では
 クレーメル盤>ホグウッド盤>フランチェスカッティ盤>イ・ムジチ盤
である。

(1)フランチェスカッティ盤は、80歳くらいの演奏であるが気品とともに色気のある艶やかな演奏である。第2ヴァイオリンはパスキエ・トリオのパスキエでフランチェスカッティの弟子だったらしい。

(2)イ・ムジチ盤は、全体にテヌートでゆったりとしているので重たいが、とても温かな演奏である。2代目コンマス(ミケルッチ)と初代コンマス(アーヨ)による「家庭的」な雰囲気に包まれている。

(3)ホグウッド盤は資料的な価値のCDで、「オーボエとヴァイオリン」を編曲した「2台のチェンバロ」第1番(原曲は残っていないので逆に「2台のチェンバロ」から「オーボエとヴァイオリン」を復元している)、「2つのヴァイオリン」を編曲した「2台のチェンバロ」第2番の組み合わせが面白い。ノンビブラートのピリオド楽器の演奏であるがいきいきとして透明感がある。「2つのヴァイオリン」ではチェンバロの代わりにオルガンで通奏低音を弾いているところもめずらしい。

(4)クレーメル盤は、疾風怒濤の演奏であるが無伴奏のときとは違って「美音」を聴かせている。自分で第1・第2ヴァイオリンソロを多重録音しているので「対等」ではあるが、むしろドッペルゲンガーと喧嘩しているようにも聴こえる。
違った音色・個性の二重奏で聴くのがあたりまえであって、同じ人が弾くとある種のキモさを感じる。

飲物に喩えると、ホグウッドはさっぱりしたサイダー、イ・ムジチは濃厚牛乳、フランチェスカッティが甘口の白ワイン、クレーメルはほろ苦いビールであろうか。いずれも捨て難い、そのときの気分で好みが違っていそうである。


4.この曲の思い出

第1楽章は、自分で第2ヴァイオリンをカセットテープに録音して、それに合わせて第1ヴァイオリンを弾いて遊んだことがある。クレーメル盤と比較になるはずはないが、人に聴かせるとキモい演奏だったろうと思う。

まともなアンサンブルとしては、大学オケの夏合宿で遊び時間に全曲弾いた。
当時コンマスをやっていた同級生を口説いて、彼に第1ヴァイオリンソロ、ボクが第2ヴァイオリンソロで、オケ仲間には伴奏に付き合ってもらった。
あくまでも遊び弾きなので聴けた演奏ではなかっただろうが、第2楽章の美しさもも、第3楽章のカッコよさも堪能したように思う。

近年では、息子がヴァイオリン教室に通い始めた当初、教室がまだこじんまりとしていた頃は発表会で先生と二重奏させていただき、先生が1st、ボクが2ndで第1楽章、第2楽章を弾いたこともあった。

息子は小3のときに「鈴木鎮一バイオリン指導曲集」第4巻で第1楽章の第2ヴァイオリンを習っていたので、ボクの第1ヴァオリンと二重奏を練習した(第1ヴァイオリンは第5巻に掲載されている)。
そのときの演奏は先日も貼り付けたYouTube動画である。

そして、またまた手前味噌ながら(しかも既出で)動画を貼り付けるが、元びわこフィルのmattakeさんに誘われて地元のアマチュアのフェスタに参加したときの第1楽章の演奏である。
もともとはピアノ伴奏なしで二重奏だけで弾くつもりであった。
事前に2回ほど練習日を設けて本番のリハーサルに臨んだが、ホールのステージで弾くと距離感があって互いの音がハッキリ聴こえなくて、なかなか合わない。
それを見かねたフェスタ関係者だったヴァイオリンの先生が、急きょ先生のお母さんのピアノの先生に頼んで、伴奏してもらえることになった。
リハーサル室で先生に指導してもらい、とても勉強になった。
ところが本番にすっかり舞い上がってしまったボクはひたすら必死こいで弾いてしまい、音域的に鳴らせにくい第2ヴァイオリンとのバランスを無視してしまった。
最後はボクが少しばかり早めにリタルランドしようとして、インテンポのまま弾く二人とズレてしまった。
この曲はソロが各々交互に出たり引っ込んだりの駆け引きが必要で、それがアンサンブルの妙味であるが、なかなか難しいものである。


mattakeさんとボクの二重奏(第1楽章)


5.おまけ


こんなに弾けたら楽しいだろうなあ...
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モーツァルト ピアノ協奏曲チクルス [協奏曲]

今日でマリア=ジョアン・ピリスのモーツァルトのピアノ協奏曲選集(CD5枚組)を聴いた。
モーツァルトのピアノ協奏曲は全集を持っていないが、この選集で十分に名曲を堪能できた。
ピリスのピアノはとても繊細で輝かしく美しい。

CD1
・ピアノ協奏曲第9番変ホ長調 K.271『ジュノム』
・ピアノ協奏曲第17番ト長調 K.453
・ロンド ニ長調 K.382
CD2
・ピアノ協奏曲第21番ハ長調 K.467
・ピアノ協奏曲第26番ニ長調 K.537『戴冠式』
・ロンド イ長調 K.386
CD3
・ピアノ協奏曲第23番イ長調 K.488
・ピアノ協奏曲第13番ハ長調 K.415
・ピアノ協奏曲第14番変ホ長調 K.449
CD4
・ピアノ協奏曲第19番ヘ長調 K.459
・ピアノ協奏曲第12番イ長調 K.414
・ロンド イ短調 K.511 (for solo piano)
CD5
・ピアノ協奏曲第20番ニ短調 K.466
・ピアノ協奏曲第27番変ロ長調 K.595

 マリア=ジョアン・ピリス(ピアノ)
 リスボン・グルベンキアン管弦楽団
 指揮:テオドール・グシュルバウアー
 ローザンヌ室内管弦楽団(CD4, CD5)
 指揮:アルミン・ジョルダン(CD4, CD5)
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